筋トレは腕立て伏せや腹筋など器具を使わずに手軽にできるエクササイズもありますが、バーベルやダンベルなどを用いて負荷をかける場合はまず基本となるテクニックを身につける必要があります。
この基本テクニックを知らずに自己流でトレーニングをすると、関節やじん帯などに過剰にストレスがかかりケガをするリスクが高まります。
筋トレは正式にはレジスタンストレーニングと言って、筋に対して負荷をかけて筋肉を太くしたり力を出しやすくしたりする運動になります。
宇都宮のパーソナルジムで20年以上の指導歴を持つプロのトレーナーがレジスタンストレーニングの基本テクニックをご紹介します。
この記事を読んで安全で効果的なレジスタンストレーニングをしましょう!
- 1. 1. グリップ
- 1.1. ① プロネイティッドグリップ(オーバーハンドグリップ)
- 1.2. ② スピネイティッドグリップ(アンダーハンドグリップ)
- 1.3. ③ オルタネイティッドグリップ
- 1.4. ④ ニュートルラルグリップ
- 1.5. ⑤ フックグリップ
- 1.6. ⑥ オープングリップ
- 2. 2. 動作の可動域とスピードコントロール
- 3. 3. エクササイズの姿勢とアライメント
- 3.1. 立位
- 3.1.1. ① スタンス
- 3.1.2. ② 体幹
- 3.1.3. ③ 視線
- 3.2. 座位
- 3.2.1. ① スタンス
- 3.2.2. ② 身体部位
- 3.2.3. ③ 視線
- 3.3. 仰臥位
- 3.3.1. 5ポイントコンタト
- 4. 4. ウエイトベルトの着用
- 5. 5. 呼吸法のガイドライン
- 6. 6. レジスタンストレーニングにおける補助
- 7. 6. その他の注意事項
- 8. レジスタンストレーニングをするならパーソナルトレーニングがおすすめ!
- 9. 引用・参考文献
1. グリップ
レジスタンストレーニングではバーベル、ダンベル、マシンなどの様々なトレーニング器具を使います。
これらの器具をしっかりと握ることで力が効率的に伝わり、バーベルやダンベルなどをコントロールすることが可能になります。
レジスタンストレーニングで用いられるグリップをご紹介します。
① プロネイティッドグリップ(オーバーハンドグリップ)
順手でバーを握る方法で、ベンチプレス、ショルダープレス、バックスクワットなどに用います。
② スピネイティッドグリップ(アンダーハンドグリップ)
逆手でバーを握る方法で、アームカールなどに用います 。
③ オルタネイティッドグリップ
片方の手を順手、片方の手を逆手で握る方法でデッドリフトや補助の際に用います。
前述の2つのグリップよりも把持力(握る力)が増します。
④ ニュートルラルグリップ
両方の手の平が内側に向かい合わせになって握る方法でシーディッドロウ、ハンマーカールなどに用います。
⑤ フックグリップ
親指を他の指の中に巻き込んで握る方法で、オリンピックリフティングなどで用います。
通常の握り方よりもグリップ力が増します。
⑥ オープングリップ
バーに親指を巻きつけないで、人差し指の横に添えるグリップです。
バーが手から離れる危険性があるため原則的に使用しません。
2. 動作の可動域とスピードコントロール
通常レジスタンストレーニングでは関節の可動域全体を使って行うことが基本になります。
関節の可動域全体を使うと筋を効果的に鍛えることができ、柔軟性も維持または向上させることができます。
ただしバーベルを担いで行うバックスクワットなどは関節の可動域全体を使って深くしゃがみ過ぎると、背骨や膝などの関節に傷害を引き起こす可能性があります。
したがってエクササイズによっては関節の可動域を制限しながら実施することもあります。
動作速度についてはゆっくりとスピードをコントロールすることで、可動域全体を使った動作が行われやすくなり傷害のリスクも減少します。
クリーンやジャークなどの一気に力を発揮し爆発的パワーを養成するエクササイズについては、動作スピードをコントロールしながらも最大スピードで行うようにします。
3. エクササイズの姿勢とアライメント
エクササイズ中は適切な姿勢を保持することで、安全性が確保され目的とする筋群に適切な刺激を与えることができます。
立位、座位、仰臥位(仰向け)での姿勢についてご紹介します。
立位
① スタンス
- 両脚は腰幅~肩幅程度に開きます。
- 足裏全体に体重をかけてつま先から踵まで床にしっかりと着けるようにします。
- 膝とつま先の向きを同じにします。
② 体幹
- 脊柱をニュートラルにします(腰背部の自然なアーチを保ちます)。
- 腹筋と背筋の筋肉を収縮させて姿勢を安定させます。
- 肩甲骨を若干引き寄せて胸椎(胸の背骨)が過剰に丸まらないようにします。
③ 視線
- 視線は真っ直ぐ前か、やや上方に向けます。
- エクササイズ中は、首を前後左右に傾けたり左右に回さないようにします。
座位
① スタンス
- 両脚を肩幅程度に開き足裏全体を床につけます。
- エクササイズ中は足の位置が動かないようにする。
② 身体部位
- 臀部をベンチに乗せます(両方の坐骨に均等に体重をかけます)。
- 背中や臀部などシートに触れる部位を固定します。
- 体幹は脊柱をニュートラルに保ちます。
③ 視線
- 視線は真っ直ぐ前に向けます。
仰臥位
5ポイントコンタト
仰臥位(または座位)のエクササイズをベンチで行うときは以下の5か所をベンチや床につけた5ポイントコンタクトの姿勢をとるようにします(表1)。
1 | 後頭部 | ベンチまたは背面のパットにしっかりつける |
2 | 上背部・肩部 | ベンチまた背面のパットに左右均等にしっかりつける |
3 | 臀部 | ベンチまたはシートに左右均等につける |
4 | 右足 | 足裏全体を床につける |
5 | 左足 | 足裏全体を床につける |
5ポイントコンタクトの姿勢を保つことで、脊柱の適切なアライメントを保った状態でエクササイズを実施することができます。
4. ウエイトベルトの着用
エクササイズによってはウエイトベルトを着用することで腹腔内圧の維持に役立ちます。
ウエイトベルトが必要かどうかはエクササイズの種類や強度をみて判断しなければなりません。
下背部にストレスがかかるエクササイズや最大または最大付近の負荷を用いて行うセットではウエイトベルトの使用は勧められます。
ウエイトベルトを使用することで、下背部の傷害リスクを低減する可能性があります。
ただしウエイトベルトを頻繁に使用すると腹筋群を鍛える機会が減ってしまいます。
下背部にストレスがかからないエクササイズ(ラットプルダウン、アームカールなど)や軽い負荷で行うエクササイズではウエイトベルトを使用する必要はありません。
5. 呼吸法のガイドライン
レジスタンストレーニング中の一般的な呼吸法は筋肉を収縮させたときに最も大変な部分(スティッキングポイント)を通過するときに息を吐き、動作を戻す比較的楽な部分で息を吸うようにします。
ベンチプレスを例にするとバーを上げる動作中に息を吐いて、スティッキングポイントで息を吐き切るようにします。
次いでバーを胸に向かって下すときに息を吸います。
この呼吸法はレジスタンストレーニングのほぼすべてのエクササイズに適用されます。
しかし状況によっては息を止めることが推奨されるものもあります。
条件としては、十分にトレーニング経験のある方が高重量を用いてバックスクワット、デッドリフトなどの脊柱(背骨)に直接的または間接的に負荷かかるエクササイズを行う場合に限ります。
息を一時的に止めるやり方をバルサルバ法といいます。
バルサルバ法を使うと腹腔内圧が高まり脊柱の適切なアライメント(骨の配列)を保つのに役立ちます。
バルサルバ法の利点としては、体幹を固めることで椎間板への圧縮力を低下させ動作中の正常な姿勢を保つことに役立ちます。
しかし腹腔内圧を増加させることで、めまい、見当識障害、過度な血圧の上昇、失神などが起こる可能性があります。
バルサルバ法を使用すると血圧が安静時の3倍まで瞬時に上昇することがあるため、息を止める時間は長くても1~2秒に留めるようにしてください。
6. レジスタンストレーニングにおける補助
レジスタンストレーニングをより安全に行うために一部のエクササイズにおいて補助者をつけることが推奨されています。
以下のエクササイズを行う際は補助者が必要となります。
- 頭より上の位置で行うエクササイズ(例:シーティッド・ショルダープレス)
- バーを背部におくエクササイズ(例:バックスクワット、フロントスクワット)
- 顔の上にバーがくるエクササイズ(例:ベンチプレス、プルオーバー)
バーベルやダンベルなどを用いるフリーウエイトでは、エクササイズによる疲労、不十分なテクニック、自分の体力レベル以上の重量設定などによりフォームが崩れて傷害リスクが高くなります。
補助者の役目はそれらを未然に防ぐことにあります。
補助をする場合は挙上者と補助者で事前にどのような状況になったら補助をするのか、補助を必要とする時の合図などを確認しておくことが大切です。
6. その他の注意事項
- 器具の位置や高さなどの調節
スクワットラックのフックやセーフティバーなどを拳上者の体格に合せる。 - プレートの脱着
プレートは左右1枚ずつ両手で扱い、左右のプレートの数を確認します。
高い位置のプレートの扱いは特に気をつけてください。
プレートをバーに装着したら必ずカラーをしっかりとつけましょう。 - 周囲の人や器具との距離が十分か確認してください。
- 各目的に応じた適切な重量、反復回数、休息時間で行ってください。
- 適宜水分補給をしながら行いましょう。
- ネックスレや指輪などのアクセサリー類は外しましょう。
- 体調や傷害などを考慮してエクササイズを実施しましょう。
より理解を深めるためにレジスタンストレーニング関連の記事も併せてお読みください。
「筋トレプログラムを作ってみよう!レジスタンストレーニングの原則」
「筋トレで健康になろう!レジスタンストレーニングが健康に及ぼす効果」
レジスタンストレーニングをするならパーソナルトレーニングがおすすめ!
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引用・参考文献
1)Jared W. Coburn, Moh H. Malek. NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識 第2版. 特定非営利活動法人NSCAジャパン. 2013.
2)National Strenght and Conditioning Association. NSCA レジスタンストレーニングのためのエクササイズテクニックマニュアル 第3版. 特定非営利活動法人 NSCAジャパン. 2017.
3)Thomas R.Baechle, Roger W.Earle. ストレングストレーニング&コンディショニング 第3版. 有限会社ブックハウス・エイチディ. 2010.
この記事を書いた人
トータルフィットネスサポート代表
齊藤 登
2004年に栃木県宇都宮市にて有限会社トータルフィットネスサポートを設立しパーソナルトレーニング、国民体育大会の帯同トレーナー、医療機関での運動指導、スポーツや医療系専門学校の講師、運動や健康づくりに関するセミナーの開催などを中心に活動しています。
NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)ジャパン北関東地域ディレクターとして、日本におけるストレングス&コンディショニングの普及およびスポーツと健康に携わる専門職の育成にも力を入れています。
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